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あをによし 奈良の都の 薬草曼荼羅

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さまざまな桜

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今年の春は、桜の開花が早かったせいで、さまざまな桜を見た気がする。
ソメイヨシノはあっという間に咲き終わったが、ふだんソメイヨシノを楽しむような時期に、シダレザクラ、ヤマザクラ、ヤエザクラなど遅咲きの桜を楽しむことができた。
それにしても、日本人はなぜ「花見」にこだわるのかな?
桜は、ソメイヨシノだけではないけど、なぜかソメイヨシノが終わると、もう桜の時期が終わったかのような雰囲気になる。

私の好きな桜は、白い花を咲かせるオオシマザクラ。オオシマザクラの葉は、ご存知、桜餅を包む塩漬けの葉である。ソメイヨシノの花は香りがないが、オオシマザクラの花は、ほのかに香りがする。ちなみに、ソメイヨシノは、エドヒガンとオオシマザクラの交配種なので、花の形はよく似ている。でも、オオシマザクラは、葉と一緒に花も咲く。

しかし、最近は、花見の時期は花粉症の時期と重なり、さらに中国から黄砂やPM2.5という物質も運ばれたりして、なかなか花見を楽しむことは難しくなってきている。2年前は原発事故もあり、いまだに放射能漏れのニュースもあるくらいだから、生き物が生きていく環境というのは厳しいものになっている。さらに、卒業、退職、入学、就職、引っ越しなど人生の転機の時期でもあり、忙しい人も多い。そんな中でも、やはり「ソメイヨシノ」にこだわる理由とはなんだろうか?「花七日」と言われるように、限られた時期だけに咲く「一期一会」の花の美しさなのだろうか?それは、この世に生まれ、死んでゆく「いのち」の象徴でもある。

花といえば、桜を言うように、日本人にとって、桜は日本人の象徴の花。正式な国花ではないらしいが、ほぼ国花に近い。そして、物事の終わりも始まりも象徴するような花でもある。卒業も入学も、退職も就職も、死も生も。ソメイヨシノは、いったん花が散って、そのあと葉が生い茂る。これが、死と生を同時に象徴しているような気がする。

今年は、風に舞う桜の花びらを何度となく眺めていたのだが、風は花びらを土に還し、養分となって、また新しいいのちを支える。「風火水土」がいのちのもとだといわれているが、桜も人も同じく、「風火水土」と周りの動植物と環境との関係に支えられて生きているのだ。
桜の花びらが散って、土の上で腐っているのを見たら、汚く見えるので、誰も「美しい」とは言わず、見向きもしない。しかし、そのときこそ、土の養分になるために、役にたっている。人も同じで、何もできなくて役にたたないと思えても、実は役にたっている。桜に、さまざまな桜があるように、人にもさまざまな人がいて、さまざまな生き方がある。他人と同じようには生きられない。自分だけにしかできない生き方がある。

今年も、新緑がきれいな季節になった。私は葉桜が好きだ。いのちがあふれているから。

tone
by tonepedra | 2013-04-21 16:25 | 植物