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あをによし 奈良の都の 薬草曼荼羅

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ストレスと五感

私たちは、日々、ストレスにあふれた社会で日常生活を送っている。
家庭でも、職場でも、地域社会でも、たとえひとりきりでひきこもって生きているとしても、何らかのストレスと向き合って生きている。
ストレスによるうつや自殺は増加し、私が住んでいる東京では、毎日のように、どこかの駅で人身事故が起きている。そして、人身事故が起きても、その人の気持ちや人生を思うことなく、事故で電車が遅れることばかりに気をとられてしまうほど、人々のこころは荒んでいる。

ストレスは、生きていくうえでは切り離すことができないものであるが、ストレスを上手に対処して自分のこころとからだを調和することができれば、ストレスは「人生のスパイス」となって、よりよい人生を送ることができる。

セリエの定義では、ストレスの原因となるものを「ストレス刺激(ストレッサー)」、それに対する心身の反応を、「ストレス反応(ストレス)」と呼んでいるが、日本ではどちらも「ストレス」と呼んでいる。でも、ストレッサーがそのままストレスに結びつくわけではない。ストレスを受けとめる人の感受性や適応力、または人間関係や環境などさまざまな要因が絡み合って、ストレスの重さを左右している。

ストレスの対処方法は、人によって異なるが、たとえば私の場合は、自然に触れたり、お寺や神社をお参りしたり、博物館や美術館に行ったり、おいしいものを食べたりすることである。この時、活用するのが「五感」である。

「五感」は、視覚(見る)、聴覚(聞く)、嗅覚(嗅ぐ)、味覚(味わう)、触覚(触れる)の5つであるが、心身の疲労が蓄積されると、五感は閉ざされ、五感は鈍化する。また、加齢や疾患、症状によっても、鈍化する。
もし、目の前に広大で緑あふれる自然の景色があるとしても、五感を使って感じる感性や感受性が閉ざされていたら、せっかく自然の豊かな景色を見ても、「美しい」とか「気持ちいい」とか「癒される」とか感じることがなく、ストレスの軽減を図ることはできない。

そもそも、「美しい」とか「気持ちいい」とか「癒される」と感じるこころとは、なんだろうか?同じ景色を見ても、その人によって、感じ方は異なる。自然の豊かな景色を見ても、ストレスが発散されて元気になる人もいれば、何も感じない人もいる。
大切なことは、その人に合ったストレスの対処方法を、その人自身が自覚して、ストレスを対処する行動を取れていればよい。
しかし、自分自身のストレス刺激が何なのか、自分のストレスの重さはどのくらいなのか、気付くことができない場合もある。自分のストレスや苦しみに、目をそらして生きようとしている場合もある。

自分のストレスを見つめることは、自分のこころとからだの調和(健康)を維持・向上するために大切なことである。そのために、「五感を開くこと」そして「感性や感受性を磨くこと」は、とても大切なことである。自分自身のこころやからだも含めて、いろんなことを五感で感じることができなければ、ストレスの原因も対処方法も探せない。
五感を使うことは、ストレスの軽減だけでなく、人生をよりよく豊かに生きるためにも必要である。生きる意味や目的、生きがいを求めるためにも、五感を活用して、感性や感受性を高めることが大切である。逆に言えば、生きる意味や目的、生きがいを明確にもっている人は、ストレス耐性が強いのかもしれない。

五感を開くためには、こころとからだの緊張が解けるように、ストレッチやウォーキングなどの軽い運動や、歌や音読などの発声が、準備や費用も必要なく、手軽にできて有効である。また、自然が豊かな場所、季節感を感じられるような環境もよい。何よりも、本人が「ここちよい」と感じられる環境が一番である。

人それぞれの好みや趣向にもよるが、日本人なら、四季折々の自然のうつろいを感じて、「美しい」と感じる美的感覚や感受性をもって生きていきたい。

tone
by tonepedra | 2011-10-03 11:33 | 五感