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仏女ブームと仏教の智慧

ここ数年、じわじわと仏像や仏教のブームが来る予感がしていたが、去年(2009年)の「国宝阿修羅展」で、一気に仏像ブームが花開いた。なおかつ、去年は、「仏女」と呼ばれる人々まで登場した。「仏女」とは、「仏像女子」または「仏教女子」の略称で、仏教や仏像が好きな20〜30代を中心とした女性のことを言うらしい。つい昨日、本屋で、丸の内はんにゃ会著「こころ安らぐ『仏教女子』入門」(洋泉社、2010年)という本を見つけた。仏女の仲間入りをしたい方は、ぜひ、読まれるとよい。モデルの「はな」さんも、巻頭でインタビューを寄せられていて、彼女の仏像に対する想いには、大変好感がもてる。「はな」さんこそ、仏女の草分け的存在であろう。

しかし、去年の阿修羅ブームや仏像ブームを、私はどちらかと言えば、ちょっと斜めから、冷ややかに見ていた。実は、東京国立博物館まで足を運んだものの、あまりにも阿修羅展が混みすぎていて、「阿修羅様は、奈良に行けば、こんなに並ばなくても拝めるんだから!!」と意地を張ってとうとう見に行かなかったひねくれ者なだけであるが、私の中で、仏教や仏像に対するイメージや想いは、こういうブームとはちょっと離れたものであった。

私にとって大切なものは、仏教の智慧であって、仏像の美は、本来、それを象徴するものである。私自身はどの宗教、どの宗派にも属していない。あえて言うなら、父親の実家は真言宗、母親の実家は浄土真宗であるが、どちらも素晴らしい教えがあり、どちらが良いとか選ぶことなどできるわけがない。大切なことは、どの宗派を信じるのかということではない。人生をよりよく生きるために、仏教の智慧や教えを、自分なりに活かすことである。

私にとって、仏教の智慧や教えで、大切なことは、「空」というこころである。かたよらないこころ、こだわらないこころ、それが空であると、薬師寺のお坊さんから教わったことがある。偏った考え方やこだわりをもたずに生きられたら、きっと生き方を変えられるだろう。でも、私は、やっぱり、欲望を捨てられず、偏見やこだわりに満ちた人生を送っているのだ。ただ、美しい仏像の前では、少しだけ清らかな気持ちになれる気がする。だから、私は仏像が好きなのかもしれない。

私は、鳩摩羅什(くまらじゅう)というお坊さんが好きだ。鳩摩羅什は、はるか昔、シルクロードの西の小さな国の王子で、戦争に巻き込まれて、過酷で悲しい運命を辿った。しかし、とらわれの身となりながらも、敵国の王にその聡明さを見込まれ、のちに、仏教の教典を中国のことばに訳して、仏教の智慧と教えをもたらした人である。般若心経の「色即是空 空即是色」などの有名なことばは、彼が作ったといわれている。鳩摩羅什は、妻子をもったため破戒僧だといわれているが、私は、それには理由があり、自ら望んで破戒僧になったわけではないと信じている。でなければ、般若心経の、あの美しいことばは生まれてこないはずである。

京都の清涼寺は、鳩摩羅什ゆかりのお寺であるといわれている。清涼寺の釈迦如来像は、インド、中国、日本と三国伝来の仏像といわれている。とても清々しい表情をされた仏さまで、私はいつも鳩摩羅什に想いを馳せて拝んでいる。仏女のかたにも、そうでない方にも、ぜひ拝んでいただきたい仏さまのおひとりである。

tone
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by tonepedra | 2010-04-15 19:28 | 仏像/仏教