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あをによし 奈良の都の 薬草曼荼羅

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カテゴリ:仏像/仏教( 3 )

「東大寺大仏 天平の至宝」をみて

10月8日から12月12日まで、東京・上野の東京国立博物館平成館で、特別展「東大寺大仏 天平の至宝」が開催されている。そのうち、11月2日から21日まで、期間限定で正倉院宝物が特別公開される。

東大寺といえば、何といっても、奈良の大仏さまが有名。
さすがに、大仏さまは、奈良を代表される仏さまだけに、東京にはおいでにならなかったが、八角燈籠(国宝、奈良時代、8世紀)をはじめ、東大寺の至宝の数々が展示されていた。
八角燈籠は、東大寺大仏殿の前に立っている。八角燈籠が寺外で公開されるのは、初めてだとのこと。お寺にあるときは、当たり前のように立っているので、あまり意識もしなかったが、博物館で改めてまじまじと見つめると、とても美しい文様である。八角の「8」の意味は、「縁起が良い」「永遠」ということに加え、葬るという意味もあるらしい。「8」は仏教で大切な数字であり、八角形のものを作ることには、仏教的に重要な意味があるようである。そして、約4.6メートルで重厚感があり、とても存在感がある。今、八角燈籠が立っていない東大寺は、いったいどんな感じなんだろうか?大仏さまも、さぞかしお寂しいにちがいない。

この展覧会で、私が好きな仏像は、「誕生釈迦仏立像」、「伝弥勒仏坐像」(別名:試みの大仏)、「五劫思惟阿弥陀如来坐像」である。
「誕生釈迦仏立像」は、お釈迦さまの誕生日である灌仏会(花祭り)の日に、おまつりする小さな仏像である。この誕生仏は、子供のようなあどけない表情で、とても可愛らしい。灌仏会(花祭り)で、香水(甘茶)をかけたら、とてもピカピカと輝くことであろう。
「伝弥勒仏坐像」は、ずんぐりむっくりなお姿で、とてもユニークな表情をされた仏さまである。ちょっとおどけた表情にも見えて、とても親しみやすい雰囲気をもった仏さまで、私は大好きである。
「五劫思惟阿弥陀如来坐像」は、阿弥陀さまが如来になる前に、五劫という長い時間をかけて瞑想をしたという。パンチパーマがそのまま伸びてしまったような盛り上がった頭髪は、五劫という長い時間が経ったことを表す。一度お会いしたら忘れられない仏さまである。

今日は、展覧会が始まったばかりの平日の午後で、空いていたが、11月の正倉院宝物が特別公開される期間は、特に混雑が予想される。東京で正倉院のお宝が見られるのだから必見である。

ところで、平成館の1階ラウンジでは、大仏さまの右手のレプリカが展示されている。そこでは写真も撮れるので、大仏さまの右手と一緒に記念写真を撮るのも楽しそうである。大仏さまの右手は、「施無畏印(せむいいん)」で、「おそれることはない、安心しなさい」という意味である。ちなみに、大仏さまの左手は、「与願印(よがんいん)」で、「願いを叶えてあげましょう」という意味である。大仏さまに、「大丈夫だよ」と言われているようで、ちょっと嬉しくなる。

とても貴重な展覧会で満足したけど、やっぱり、奈良でほんまもんの大仏さまにお会いしたくなってきた。

tone
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by tonepedra | 2010-10-13 21:55 | 仏像/仏教

仏女ブームと仏教の智慧

ここ数年、じわじわと仏像や仏教のブームが来る予感がしていたが、去年(2009年)の「国宝阿修羅展」で、一気に仏像ブームが花開いた。なおかつ、去年は、「仏女」と呼ばれる人々まで登場した。「仏女」とは、「仏像女子」または「仏教女子」の略称で、仏教や仏像が好きな20〜30代を中心とした女性のことを言うらしい。つい昨日、本屋で、丸の内はんにゃ会著「こころ安らぐ『仏教女子』入門」(洋泉社、2010年)という本を見つけた。仏女の仲間入りをしたい方は、ぜひ、読まれるとよい。モデルの「はな」さんも、巻頭でインタビューを寄せられていて、彼女の仏像に対する想いには、大変好感がもてる。「はな」さんこそ、仏女の草分け的存在であろう。

しかし、去年の阿修羅ブームや仏像ブームを、私はどちらかと言えば、ちょっと斜めから、冷ややかに見ていた。実は、東京国立博物館まで足を運んだものの、あまりにも阿修羅展が混みすぎていて、「阿修羅様は、奈良に行けば、こんなに並ばなくても拝めるんだから!!」と意地を張ってとうとう見に行かなかったひねくれ者なだけであるが、私の中で、仏教や仏像に対するイメージや想いは、こういうブームとはちょっと離れたものであった。

私にとって大切なものは、仏教の智慧であって、仏像の美は、本来、それを象徴するものである。私自身はどの宗教、どの宗派にも属していない。あえて言うなら、父親の実家は真言宗、母親の実家は浄土真宗であるが、どちらも素晴らしい教えがあり、どちらが良いとか選ぶことなどできるわけがない。大切なことは、どの宗派を信じるのかということではない。人生をよりよく生きるために、仏教の智慧や教えを、自分なりに活かすことである。

私にとって、仏教の智慧や教えで、大切なことは、「空」というこころである。かたよらないこころ、こだわらないこころ、それが空であると、薬師寺のお坊さんから教わったことがある。偏った考え方やこだわりをもたずに生きられたら、きっと生き方を変えられるだろう。でも、私は、やっぱり、欲望を捨てられず、偏見やこだわりに満ちた人生を送っているのだ。ただ、美しい仏像の前では、少しだけ清らかな気持ちになれる気がする。だから、私は仏像が好きなのかもしれない。

私は、鳩摩羅什(くまらじゅう)というお坊さんが好きだ。鳩摩羅什は、はるか昔、シルクロードの西の小さな国の王子で、戦争に巻き込まれて、過酷で悲しい運命を辿った。しかし、とらわれの身となりながらも、敵国の王にその聡明さを見込まれ、のちに、仏教の教典を中国のことばに訳して、仏教の智慧と教えをもたらした人である。般若心経の「色即是空 空即是色」などの有名なことばは、彼が作ったといわれている。鳩摩羅什は、妻子をもったため破戒僧だといわれているが、私は、それには理由があり、自ら望んで破戒僧になったわけではないと信じている。でなければ、般若心経の、あの美しいことばは生まれてこないはずである。

京都の清涼寺は、鳩摩羅什ゆかりのお寺であるといわれている。清涼寺の釈迦如来像は、インド、中国、日本と三国伝来の仏像といわれている。とても清々しい表情をされた仏さまで、私はいつも鳩摩羅什に想いを馳せて拝んでいる。仏女のかたにも、そうでない方にも、ぜひ拝んでいただきたい仏さまのおひとりである。

tone
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by tonepedra | 2010-04-15 19:28 | 仏像/仏教

「仏像ガール」さんの本

待望の、「仏像ガール」さんの本が、やっと出た。
西山厚監修、仏像ガール著「でかける・感じる・きっと出会える 仏像の旅」(山と渓谷社)である。

仏像ガールさんの講演を一度、聴きに行ったことがある。
とても華奢で可愛らしい、でも芯がしっかりした女性であった。
何より、本当に仏像が好きというオーラが、全身から放たれていた。

タイトルの「仏像の旅」のとおり、仏像ガールさんは、47都道府県をまわられて、全国の素敵な仏像さまを紹介してくれている。
なかでも、私のお気に入りは、神奈川県鎌倉市の「覚園寺」と大分県国東半島の「熊野磨崖仏」、そして、奈良県奈良市の「帯解寺」。

「覚園寺」は、私が鎌倉の中で、一番好きなお寺である。
「覚園寺」での拝観は、1時間ごとに決められていて、お坊さまが案内して下さる。
自由に見られない代わりに、お寺の歴史、仏像の由来、仏教の言葉の意味、さらにはお寺の境内の四季折々の自然についてまで、くわしく説明して下さる。何度訪れても飽きない、魅力にあふれたお寺である。

「熊野磨崖仏」は、というより、大分県国東半島の仏像文化すべてが好きである。
宇佐神宮の最寄り駅である宇佐駅から、周遊バスがあり、「富貴寺」「真木大堂」「熊野磨崖仏」をめぐることができる。ほかに、臼杵の石仏も見逃せない。
磨崖仏にお会いするためには、鬼が一晩で積み上げたという100段の石段を登らなければならない。そして、登った先で、お会いする仏さまは、仏像ガールさんもおっしゃる通り、「厳しい。でも優しい」のだ。

「帯解寺」は、皇室ご用達の安産祈願のお寺。外見は派手ではなく、こじんまりとしているが、奈良の人をはじめ、全国各地の人が、このお寺を訪れ、子宝に恵まれるように、無事に子供が産まれるように、そして健やかに育つように、と祈願している。私も何度か、友人の子宝や安産を祈願した大切なお寺である。

ほかにも、魅力的なお寺、行ったことがないお寺が紹介されていて、すぐにでも旅に出たくなった。
なお、仏像についての基本的なことを知りたい人には、仏像ガールさんのもうひとつの本「感じる・調べる・もっと近づく 仏像の本」(山と渓谷社)もおすすめである。

tone
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by tonepedra | 2010-03-26 00:11 | 仏像/仏教