あをによし 奈良の都の 薬草曼荼羅

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カテゴリ:薬草曼荼羅( 2 )

薬草曼荼羅 その2 ドクダミ

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梅雨の代表的な花といえば、アジサイ、そして、ドクダミである。
今年はまだ雨が少ないが、ドクダミは今が盛りの花である。
ドクダミの花は、白く十字の形をしていて、葉は、ハートの形をしている。とても清楚で可憐な花である。
雨に濡れたドクダミの花は、さらにみずみずしく、生き生きとした美しさを増している。
上の写真3枚のうち、真ん中は、八重咲きのドクダミである。

ドクダミという名は、「毒溜め」という説と、「毒矯み」という説がある。
前者は、悪臭とまでいわれるその匂いから、毒が溜まっているという説である。
後者は、毒を矯める(毒をなおす)という説である。
ドクダミは、またの名を、「十薬(じゅうやく)」という。たくさんの薬効をもっているという意味である。
そのことを考えると、後者の「毒矯み」のほうが、ドクダミの名前の由来としてはふさわしい。

山菜料理や薬草料理では、主に天ぷらにして食される。また、焼酎に漬けてドクダミ酒を作ったり、乾燥させてドクダミ茶として飲まれることが多い。

ちなみに、仏教界で、毒を食べて下さる仏さまは、孔雀明王さま。
孔雀という鳥は、毒をもつ蛇を食べるという。そのことから、孔雀明王さまは、毒を消す仏さまとして崇拝されてきた。美しい羽根をもち、一見、優雅に見える孔雀であるが、毒や悪に対しては、果敢に挑む仏さまとして、信仰されている。
また、人間がもつ煩悩の象徴である「三毒」を喰らい、仏の道へと導く仏さまでもある。仏教でいう「三毒」とは、貪(とん:むさぼり、求めるこころ)、瞋(しん:怒りや憎しみのこころ)、恥(ち:無知や愚かさ)を指す。
孔雀明王さまは、信仰の対象としてふさわしい、気高くて貴い風格を兼ね備え、人々を毒や悪から守り、清浄な信仰心へと導くのである。

さて、「毒を消す」といえば、今、流行の「デトックス(毒出し)」。
野菜、野草、薬草などの植物は、からだの中の老廃物を排出させる効果があり、まさに、デトックスのための素材である。
人間も動物も、昔から、体調を崩すと、ある特定の草を食べて治すことがある。誰に教わるのでもない。DNAなのか、本能なのか。人間ならば、先祖や親からの知慧なのだろうが、それは言葉をもたない頃から行われていたはずである。
とにかく、身近な野草を、からだの毒を出したり病気を治したりするために活かせるということは、素晴らしい知慧である。
お寺などで供される精進料理は、肉や魚や乳製品などを食べず、植物だけを食べることであるが、それは、こころもからだもデトックスすることにつながる。こころもからだも清浄になるためには、植物の力が必要不可欠である。

私は、植物によってもたらされてきた力と、それをよりよい形で伝えてきた知慧を、少しでも学び、身につけたい。そして、それをこのブログでも伝えていきたい。


<薬草曼陀羅 植物図鑑>
学名:Houttuynia cordata
科名・属名:ドクダミ科、ドクダミ属
和名:ドクダミ
生薬名:十薬(じゅうやく)
別名:ドクダン、ハッチョウグサ
原産地:
自生分布:日本全土
生育地:半陰湿地(道端など)
花期:5〜7月
花色:淡黄色(白い花弁のように見えるのは総苞弁)
草丈:15〜35㎝
特徴:地下に白い根茎をもち、地面を這うようにして伸びて、盛んに枝分かれして繁茂する。
茎は直立し、黒みを帯びた紫色である。
葉は、短い葉柄をもち、互生で、独特の臭気をもつ。
葉身は、先の尖った細長い心臓形で、サツマイモの葉に似ている。
花は、茎の上部から花穂を出して、淡黄色の小花を穂状にたくさんつける。
小花には、1枚の苞があり、花弁や顎がない。
最下の4枚の苞が発達して、白色の十字形になり、一見、花弁のようにみえる。
作用:消炎、強心、抗菌、解熱、緩下、利尿、排膿
適応:便秘、水虫、いんきん、たむし、吹き出物、あせも、おむつかぶれ、かみそり負け、靴ずれ、高血圧、動脈硬化、尿道炎、冷え、浮腫、蓄膿症、痔
使用方法:開花期に採集した全草を乾燥させて、煎じて服用する。膿を出すには、乾燥させた葉を水で戻して貼る。水虫には、生の葉をよく揉んで塗布する。
禁忌:妊婦は服用しない。

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by tonepedra | 2010-06-17 18:22 | 薬草曼荼羅

薬草曼荼羅 その1 フキ

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早春、まだ寒い1月末に、春の訪れをそっと告げる「ふきのとう(蕗の薹)」。
今では、フキはすっかり大きな葉を広げている。
フキは、山菜として利用価値が高く、ふきのとうは天ぷらやお味噌汁などに、フキは、佃煮などにして食べられる。ふきのとうは、ほろ苦いが、とても香ばしい。

私のライフログとしてあげている絵本「馬ぬすびと」(平塚武二作、太田大八画、1968年、福音館書店)に出てくる、気丈で可憐な娘の名は、「ふき」。
鎌倉時代、貧しい百姓の息子だった主人公の九郎次は、小さい頃から馬が大好きで、馬の世話をして暮らしていたが、ひょんなことから、馬ぬすびとになる。
しかし、こころの支えである「九郎」という野生馬を逃がすためだけに、いのちを賭ける・・・。
九郎次を慕い、けなげに尽くしたふきは、おそらく、「馬ぬすびと」の記録をしたという寿福寺の尼になったのではないかと、私はひそかに想像している。

そんなわけで、鎌倉の寿福寺を通るたび、私は「馬ぬすびと」のふきのことを思い出すのである。
ちなみに、寿福寺は非公開寺院であるが、山門までは自由に散策できる。
山門までの道は豊かな緑にあふれて、特に初夏や梅雨の時期は、みずみずしく、素晴らしい景観である。

私にとって、フキは、ふきであり、蕗であり、富貴でもある。


<薬草曼荼羅 植物図鑑>
和名:フキ(蕗)
学名:Petasites japonicus
別名・俗名:フキノトウ、ノブキ、ミズブキ、アカブキ、アオブキなど
生薬名:蜂闘菜(ホウトウサイ)
科名:キク科
属名:フキ属
特徴:山野や道端、野原などに生える多年草。日本全土に分布。やや湿った土地を好む。雌雄異株。雌株の花は白色、雄株の花は黄色。早春に花が咲いたあと、地中の茎から葉を伸ばし、春から夏にかけて、約30~70cmに伸びる(秋田など東北地方の大型種は1~1.5mにもなる)。
花期:2~5月(東京都内では2月頃)
食用:天ぷら、酢の物、蕗味噌、佃煮(伽羅蕗)、味噌汁など
薬用:去痰、鎮咳、健胃、解熱など
その他:となりのトトロの雨傘

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by tonepedra | 2010-05-21 20:50 | 薬草曼荼羅