あをによし 奈良の都の 薬草曼荼羅

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いのちのたね

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奈良・春日大社の中にある、風宮神社の傍らに、七種寄木(なないろのやどりぎ)という不思議な木がある。

七種寄木は、カゴノキを母樹として、ツバキ、ナンテン、ニワトコ、フジ、カエデ、サクラが着生した。風宮神社の風神が、いろいろな種を風に乗せて運んできたとされる。
風神は、息を司ることから、いのちの神様でもある。この木は、風で種が運ばれて、いのちが「宿る」ということから、「子を授かる」、または、「妊婦を守る」という信仰が厚い。
ちなみに、この木に、願い事を書いたこよりを結ぶと、願いが叶うらしい。

目に見えない風が、いのちを宿すということは、一見、不思議なことのように思われるが、実は、理にかなっている。風はいつも新鮮な空気を運んでくれる。植物にとっても、人間や動物にとっても、空気(酸素や二酸化炭素)は、生きていく上でなくてはならない、大切なもの。軽やかな風は、新鮮な空気を運び、いのちを支える。淀んだ重い空気は、病気や疫など、いのちにとって悪いことを招く。

風が吹くということは、流れているということ。
同じものは二つとしてなく、同じような時は二度と流れない。つまり、「無常」だということ。
いのちは、風のように、流れている。過去から未来に向かって、誕生から死にむかって、時間とともに着実に流れている。

いのちはみんな、最初、ひとつぶのたねだった。たねが芽を出し、葉を広げ、枝や茎を伸ばし、花を咲かせ、実を結び、また、ひとつぶのたねに戻る。いのちは、そんな堂々巡りの繰り返し。だけど、繰り返されるいのちに、どんな意味や目的があるのかはわからないけど、ひとつぶのたねを大切に守るために、植物も動物も人間も、一生懸命生きている。

いのちのたねは、「風火水土」に支えられて、成長し生きている。風(空気)も、火(太陽の光と熱)も、水も、土も、どれが欠けても、いのちは生きてはいけない。
時々、風火水土は、台風や異常気象や津波や地震などに姿を変えて、人間に対して、怒りと戒めを見せる。それでも、人間は、私自身も含めて、自然の恵みへの感謝と畏怖を忘れてしまう。本当は、そのことこそ、人間は忘れてはならないのに。

七種寄木は、七つのいのちが、寄り添って生きている。
こんなふうに、お互い支え合って生きていけたらいいな。

tone
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by tonepedra | 2011-09-01 11:04 | 神社仏閣