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あをによし 奈良の都の 薬草曼荼羅

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奈良での摘み草体験

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先日、トトラボ主催のワークショップ『ブルーベリーの育つ土壌から 〜土のこと、ハーブのこと』に参加した。奈良県宇陀市室生にあるブルーベリー農園を訪れ、ブルーベリーの下草として生えている日本のハーブについて学んだ。

その農園は、有機農法でありながら、有機JASという規格はあえて取得していないという、独特なシステムをもっている。
有機農法とは、「指定以外の化学合成された肥料や農薬を使わず、有機質肥料を使う農法」を指す。有機JAS法の関係から、有機JASを取得しないものは、「オーガニック」と名乗ることはできない。しかし、「指定以外の化学合成された肥料や農薬」の中の「指定」には、いろいろあるらしく、中には邪道なオーガニックを名乗るものもあるらしい。
有機農法の本来の目的は、「周囲の環境破壊リスクを低減」させ、「周囲の環境を汚すことなく、次世代によりよい環境をバトンタッチする」ことであり、生物多様性をふまえた環境への配慮が重要視される。つまり、植物も動物も微生物も、バランスを保ちながら、お互い持ちつ持たれつの関係を築く中で、農業は自然の恵みの一部を分けてもらうという姿勢が大切なのである。

実習は野外で行い、ブルーベリー農園の下草として生えているいろんな植物(いわゆる「雑草」と呼ばれている草たち)を採取し、ヨモギを用いて浸出油を作った。

ブルーベリーは、ツツジ科の植物であり、酸性の土地を好む。ブルーベリーの育つ土壌は酸性であるから、ブルーベリーの下には、同じく酸性を好む植物が生えてくる。そういえば、ツツジの近くに、よくドクダミが生えているのも見かけるが、同じ酸性土を好むからなのだと、今更ながら気づいた。
今回、私たちが農園で出会った植物は、ヨモギ、スギナ、タンポポ、ナズナ、ハコベ、ドクダミ、クローバー、オオイヌノフグリ、カラスノエンドウ、タネツケバナ、フキ、ススキなどである。これらの多くは、昔から日本のあらゆる場所に生えており、民間療法として用いられてきた日本のハーブである。

「ヨモギは抗菌作用があり魔よけのハーブ」、「スギナはお肌をしっとりさせ、リンスにもなる」、「ハコベは歯磨きになる」「オオイヌノフグリの花の色は酸性度をあらわす」、「カマキリの巣の高さは、降雪量をあらわす」、「カラスノエンドウは根に根粒菌(バクテリア)をためるから、そのバクテリアが肥料を分解する」、など、ためになる話をたくさん聞きながら、摘み草に夢中になった。

このあと、摘み草したヨモギから温浸油を作った。ヨモギは、収斂、止血、鎮痛、抗菌、血行促進などの作用がある。世界中のいろんな地域で、ヨモギに似たハーブ(セイジブラシなど)は、「魔よけのハーブ」として用いられていることも興味深い。

写真は、ブルーベリー農園の下草として生えていた日本のハーブで作った、小さな花束である。小さいけど、さまざまな薬効がある。
室生の思い出のブーケは、野原の小さな薬箱である。

tone
by tonepedra | 2011-05-08 09:49 | 薬草/植物療法